調査・作成日:2026年10月3日

暗号資産を詐欺が疑われる相手へ送った後、ブロックチェーン上で完了した送金を利用者自身が取り消すことは通常できません。それでも、追加送金を止め、取引所へ連絡し、TxIDと相手の情報を保存することで、その後の相談と調査に必要な材料を残せます。

結論:取消操作を探す前に追加送金を止める

取引所内の出金申請が「受付中」なのか、ブロックチェーン上でTxIDが発行され「成功」になったのかを分ける。未処理なら公式サポートへ即時連絡し、キャンセル操作の可否を確認する。

取引所の出金履歴が「処理中」なら、公式サポートへ出金日時と受付番号を伝え、事業者側で停止できる段階か尋ねます。すでにTxIDが発行され、ブロックエクスプローラーで成功と表示されている場合、送金者の画面から元へ戻す操作は通常ありません。銀行振込の組戻しと同じ感覚で「取消手数料」を払うと、被害がさらに増えるおそれがあります。

相手が返金担当者を紹介してきても、その連絡先は使わないでください。追加の暗号資産、保証金、秘密鍵を求める案内は拒み、利用した取引所のアプリまたは公式サイトから問い合わせます。いま止められる出金が残っていないか、自分の口座の履歴も確認します。

まず送金状態とネットワークを確認する

同じ通貨名でもEthereum、TRONなどネットワークが異なる。ブロックエクスプローラーで成功状態、承認数、時刻、宛先を確認し、表示画面とURLを保存する。

通貨名だけでは送金先を特定できません。USDTを例にすると、Ethereum、TRONなど複数のネットワークで扱われ、同じように見えるアドレスでも確認先が変わります。出金履歴に記載されたネットワーク名を読み、対応するブロックエクスプローラーへTxIDを貼り付けます。

保存する項目は、成功・失敗の表示、承認数、ブロック時刻、送金元、宛先、数量、手数料です。ブラウザーのURLが見える状態で画面を残すと、後からどのチェーンを確認した資料か説明できます。見慣れない表示を推測で翻訳せず、分からない項目はそのまま取引所へ質問します。

暗号資産送金直後の対応の公的機関ページ
2026年10月3日、公的機関の公式ページをChromeのモバイル表示で保存。URL:https://www.fsa.go.jp/receipt/soudansitu/advice05.html

取引所へ伝える情報を揃える

取引所には登録メール、出金日時、数量、チェーン、宛先、TxID、詐欺を疑った時刻、相手との関係を一度に伝える。一般窓口ではなく不正利用・セキュリティ窓口があればそちらを使う。

取引所へ最初に伝える情報が不足すると、確認に時間がかかります。登録メールアドレス、出金日時、通貨と数量、ネットワーク、宛先アドレス、TxIDを一つのメモへまとめます。詐欺を疑った時刻と、送金を指示した人物との関係も簡潔に添えてください。

問い合わせフォームを送った後は、受付メールと受付番号を保存します。電話窓口を利用した場合は、連絡時刻、担当部署、案内された内容を記録します。取引所から追加資料を求められたら、相手とのチャット全体ではなく、該当送金を指示した箇所と前後の会話を示すと状況が伝わりやすくなります。

暗号資産送金直後の対応の独自解説イラスト
暮らしの相談所による独自イラスト。実在サービスの画面ではありません。

TxIDから保存できる事実

TxIDは取引の識別子であり、送金元・宛先・数量・手数料・ブロック時刻を結び付ける。サイト内残高や相手の説明とは別の客観記録として全文を保存する。

TxIDは、ブロックチェーン上の一つの取引を示す識別子です。サイト内に表示された「利益」や「運用残高」ではなく、実際にどのアドレスからどこへ資産が移ったかを確認できます。省略された文字列を手入力せず、出金履歴のコピー機能から全文を取得してください。

TxIDだけで相手の氏名が分かるとは限りません。それでも、通貨、時刻、数量、宛先を結ぶ客観的な記録として相談時に役立ちます。複数回送金した場合は一件ごとに番号を付け、対応するTxIDとチャットの指示を同じ番号で整理します。

相手との会話を送金記録につなげる

広告、DM、LINE、偽サイト、取引所出金の順番を番号で対応させる。誰が、どの言葉で、どの宛先への送金を指示したかを会話日時とともに残す。

勧誘の入口から送金までを途切れさせずに残します。広告を見た日、SNSで連絡した日、LINEへ移った日、サイトへ登録した日、最初の入金日を順に並べます。相手が表示名を変えても追えるよう、ユーザーID、電話番号、プロフィールURLも保存してください。

会話は送金を求めた一文だけでなく、その前に説明された利益、保証、期限、出金条件も含めます。削除機能があるサービスでは、スクロールしながら連続して画面を保存します。画像に書き込みを加える場合は複製へ行い、元のスクリーンショットは変更せず残します。

暗号資産送金直後の対応の公的機関ページ
2026年10月3日、公的機関の公式ページをChromeのモバイル表示で保存。URL:https://www.npa.go.jp/bureau/sosikihanzai/tokusyusagi/angoushisan_taisakukyouka20260806.html

ウォレットと取引所口座を守る

相手にシードフレーズや秘密鍵を教えた場合は送金取消とは別の危険がある。正規ウォレットの案内を確認し、残存資産、承認権限、APIキー、ログイン端末を点検する。

同じパスワードをメール、取引所、SNSで使っている場合は、被害に使った端末が安全か確認してから変更します。まずメールを守り、その後に取引所とSNSの認証を見直すと、パスワード再設定メールを奪われる危険を減らせます。二要素認証、ログイン履歴、APIキー、出金先登録も点検してください。

シードフレーズや秘密鍵を相手へ送った場合、そのウォレットは今後も操作される可能性があります。残高があるときは、正規ウォレット事業者の案内を確認し、安全な端末で新しいウォレットへの移行を検討します。相手が指定したアプリや遠隔操作ソフトは使用しません。

暗号資産送金直後の対応の独自解説イラスト
暮らしの相談所による独自イラスト。実在サービスの画面ではありません。

警察・相談窓口へ持参する資料

警察には勧誘経路と送金経路の両方を持参する。銀行入金から暗号資産購入、外部送金までを一枚にまとめ、取引所へ連絡した受付番号も記載する。

警察へ持参する資料は、出来事を日付順に並べた一枚の一覧から始めると説明しやすくなります。各行へ接触、登録、送金、出金拒否、追加請求を書き、証拠ファイル名を添えます。暗号資産の送金は通貨、数量、円換算額、宛先、TxIDを記載します。

相談時には、相手が詐欺だと断定できる資料だけを選ぶ必要はありません。相手の説明、実際の画面、取引所の記録を分けて提出します。相談番号や担当窓口を控え、新しい送金要求や連絡が届いたときに追加資料として渡せるようにします。

追跡・凍結・返金の違い

追跡はブロックチェーン上の移動を確認する作業、凍結は事業者等が権限と根拠に基づき行う対応、返金は資金が戻る結果であり同じではない。成功を約束する者を信用しない。

ブロックチェーン上で資金の移動を追えることと、資金を止められることは別です。アドレス間の移転が見えても、凍結には受取先事業者の確認や捜査機関との連携などが必要になり、個人が画面操作だけで実行できるものではありません。追跡結果だけで返金が決まるわけでもありません。

「必ず凍結できる」「回収率は100%」と保証し、先に暗号資産を求める業者には注意してください。契約前に法人名、所在地、業務範囲、費用、成果物、解約条件を確認します。ウォレットの秘密鍵を渡す必要があると言われた場合は依頼を止めます。

暗号資産送金直後の対応の独自解説イラスト
暮らしの相談所による独自イラスト。実在サービスの画面ではありません。

まとめ:時間を空けず記録と連絡を進める

最後に行うのは、追加送金停止、証拠の原本保存、取引所への連絡、警察相談の四点である。相手との交渉を続ける前に連絡先と資料を確保する。

送金直後にできることは、追加送金を止め、取引所へ連絡し、記録をそろえることです。処理中の出金があれば停止の可能性を問い合わせ、完了済みならTxIDとネットワーク情報を保存します。相手との連絡を続けて返金交渉をするより、公式窓口への連絡を優先してください。

資料がそろっても返金が約束されるわけではありません。ただし、時間がたつ前に送金情報と勧誘経緯を残すことで、警察や事業者が事実を確認しやすくなります。新しい回収担当者から連絡が来ても支払わず、同じ事件の資料へ追加します。

確認した一次情報

調査起点として千羽リサーチ、株式会社データプロ、BlockTrace Japan、Crypto Lab Insightの固定4サイトも2026年10月3日に確認しました。文章・画像・図解は転載せず、公的機関等で裏取りして独自に構成しています。